研究概要 |
ZO-1/ZO-2は細胞間の接着部位に存在する膜裏打ち蛋白質で、膜蛋白質を細胞膜の特定の領域に局在化させる働きを担っていると予想される。この予想を裏付ける根拠の一つとして、ZO-1/ZO-2がもつPDZ(PSD95,Dlg,ZO-1)ドメインと呼ばれる構造を有する分子群が存在し、その中の多くのものが上皮細胞や神経細胞などにおいて種々の膜蛋白質の細胞質領域に直接結合していることがあげられる。 昨年度ZO-1を様々なドメインに分けて培養細胞へのトランスフェクション、in vitro結合実験などを行い、ZO-1のもつ特徴について解析した。本年度は、ZO-2について同様の解析を行い、ZO-2がZO-1と非常によく似た性質を示すことを明らかにした。すなわち、PDZドメインを含むN末側において膜蛋白質であるオクルディンに結合し、C末側でアクチンフィラメントと結合することによりオクルディンを細胞間接着装置のうちtight junction特異的に局在させることに関与していると予想された。こうした知見から、ZO-1とZO-2はお互いにredundantな分子であると考えられるが、各々が実際に生体内で果たしている機能をより直接的に解析するために、gene targetingによってZO-1およびZO-2を欠失したマウスの作製を試みた。現在生殖系列に入ったキメラマウス由来のヘテロ個体が誕生しており、今後ホモ個体を得てその表現系を解析していく予定である。
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