γ-チューブリンの機能に関連のある因子をコードする遺伝子に変異を持つ突然変異株の検索を行った。まず、変異を導入する株の作成を行った。分裂酵母のロイシン、ウラシル要求性株に、γ-チューブリン遺伝子を破壊するようにヒトγ-チューブリン遺伝子とウラシル要求性を相補する遺伝子をゲノム中に挿入した。この株に、誘導可能なプロモーター制御下の分裂酵母γ-チューブリン遺伝子とロイシン要求性を相補する遺伝子を持つプラスミドを導入した株を作成した。この株は、発現誘導下ではヒトと酵母両方のγ-チューブリンを持ち、発現抑制下ではヒトのγ-チューブリンのみを持つ。作成された株を突然変異誘発剤処理または、紫外線照射下に暴露することにより突然変異を誘導した。変異を誘導した細胞は、発現誘導培地上でコロニーを形成させ、発現抑制培地に移し、高温(37℃)および低温(20℃)で培養し、少なくともそのいずれかで生育が発現抑制培地依存的に阻害される変異株を選択した。この方法で約5万コロニーを検索し、ヒトのγ-チューブリンのみでは生育がまったっく阻害されてしまうもの(致死変異株)1株及び、生育が温度感受性になるもの(温度感受性変異株)4株を分離した。分離された株に、α、β、γ-チューブリン及びヒトのγ-チューブリンの遺伝子を形質転換した。温度感受性変異株3株については、自身のγ-チューブリン遺伝子によってのみ変異が相補され、目的の変異株が分離されていることが確認された。また、温度感受性株1株については、自身のγ-チューブリンに加え、α-チューブリン遺伝子によって弱く相補された。致死変異株1株については、上記の何れの遺伝子でも変異は相補されなかった。これらの変異株について、制限条件下での形態的表現形を観察した。さらに、分裂酵母ゲノムDNAライブラリーを形質転換し、変異を相補する事ができるゲノムDNA断片を単離した。
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