1. 発光細胞の同定 ・スライドガラスに付着させた被嚢細胞を浸透圧やガラス針等によって破壊することで生じる発光を、超高感度ビデオカメラにより記録することにより発光細胞を同定した。 ・ガラスに付着させた同一の被嚢細胞を光学顕微鏡と電子顕微鏡によって観察することで、同定された発光細胞の微細構造を明らかにした。 ・発光細胞が発光と同色の自己蛍光を持つこと、酸性の成分を含む小胞を持つことがわかった。 2. ルミカウンターによる被嚢組織の発光計測 ・低張液など被嚢中の細胞が破壊される条件で強い発光が認められる。 ・細胞内イオン環境を変化させる処理でも発光は認められたが、前項の発光と較べて発光量は著しく小さい→処理による細胞傷害によって発光が生じているのではないかと考えられる。 ・NH_3^+によって発光細胞内の酸性小胞を中性化しても発光は誘起できなかった。 3. ルミカウンターによる凍結乾燥試料の発光計測 ・添加する水溶液が酸性の場合著しい発光量の低下が認められた。 ・ATP添加による発光量・発光時間の影響がない。←未知の発光システムである可能性 4. 発光現象が知られている浮遊性被嚢動物の被嚢の微細構造を記載・比較を行った。 まとめ:本種の発光は被嚢が物理的刺激を受けて被嚢内の発光細胞が破壊され内容物が放出されることで生じると考えられる。細胞内の酸性小胞は発光系の保持に関係することが期待されるが、pHだけで発光制御は説明できない。細胞の持つ蛍光物質は発光系においてオワンクラゲのGFPと同様な役割を担っているのではないか。
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