出芽酵母第三染色体のホットスポットのクロマチン構造に関して、本年度は以下の結果を得た。これまでに、第三染色体上で最強のホットスポットであるYCR48W領域のクロマチン構造を解析し、その領域のクロマチン構造で、減数分裂期に強いDNA受容性の増大が起きることを確認した。この変化は他の染色体のホットスポットで起きるDNA受容性変動に比べて強いものであり、ホットスポット活性とクロマチンの変動の間に相関が認められた。また、通常は転写プロモーター領域に認められる二重鎖切断が、遺伝子コード領域にも複数認められるGLK1遺伝子座についてクロマチン構造を調べている。最近我々はこの領域に、分裂酵母に見られるホットスポット配列を複数見出した。分裂酵母のホットスポット配列に結合する因子は、真核生物に広く分布しているCREB/ATF転写因子であるので、同様な因子が出芽酵母にも存在し、ホットスポットを形成する可能性が高い。そこでGLK1遺伝子座上のこれらの配列に変異を導入した。現在、これらの変異株の二重鎖切断とクロマチン構造について調べている。これに加え、組換えがほとんど起きないコールド領域にあるPOL4遺伝子座、またコールド領域にあるにもかかわらず例外的に組換えが起きるARS310領域のクロマチン構造の解析に着手した。
|