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1997 年度 実績報告書

グリア細胞由来の神経細胞の生存に関わる新たな因子の発見とその作用機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 09780671
研究機関理化学研究所

研究代表者

三苫 純也  理化学研究所, 糖細胞情報研究チーム, 基礎科学特別研究員 (10281627)

キーワード海馬ニューロン / 海馬アストログリア / ニューロングリア相互作用 / L-セリン / ニューロン生存促進因子 / 神経突起伸長 / ホスファチジルセリン / ホスファチジルスレオニン
研究概要

これまでの研究で、海馬アストログリアの培養上清中に海馬ニューロンの生存に必要な低分子物質が存在することが示唆された。本年度はその物質の同定と作用機構の解明を試みた。
1,新たなニューロンの生存因子としてのL-セリンの同定
海馬アストログリアの培養上清のアミノ酸分析を行なったところ、培地(MEM)に含まれていない7つの非必須アミノ酸のうちL-セリンとL-アラニンが多量に含まれていた。海馬ニューロンをそれぞれのアミノ酸存在下で培養した結果、L-セリンとグリシンに生存促進活性、及び樹状突起や軸索の伸長促進活性がみられた。最大の活性を与えるL-セリンの濃度とアストログリアの培養上清中のL-セリンの濃度はほぼ同じレベル(〜100μM)であった。以上の結果から、非必須アミノ酸L-セリンはニューロンに必須のアミノ酸であり、それはアストログリアから供給されていることがわかった。
2,ニューロンに発現する新規脂質の同定
アストログリア培養上清の非存在下において、ニューロンにはホスファチジルセリン(PS)がほとんど存在せず、未知の脂質が出現した。この脂質をアミノ酸分析及びマススペクトル解析した結果、ホスファチジルスレオニン(PT)であることがわかった。さらにin vitro測定系を用いての解析で、PTはPS塩基置換酵素によって合成されること、またこの酵素のL-スレオニンに対するKm値はL-セリンに対するKm値よりも約200倍大きいことがわかった。このことから、何らかの理由で海馬ニューロン内のL-セリン濃度は非常に低いと思われる。
L-セリンは非必須アミノ酸に分類されるが、タンパク質合成に用いられるのみならず、グリシン、PS、そして全てのスフィンゴ脂質の合成の前駆体であるので、その欠乏は細胞死を意味する。非必須アミノ酸に分類されているL-セリンはニューロンにとって非常に重要なアミノ酸であると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Mitoma,J., Furuya,S and Hirabyashi,Y.: "A Novel Metabolic Communication between Neurons and Astrocytes : Non-essential amino acid L-serine released from astrocytes is essential for developing hippocampal neurons" Neuroscience Research. (in press).

  • [文献書誌] Mitoma,J., Ito,M., Furuya,S and Hirabayashi,Y.: "Bipotential Roles of Ceramide in the Growth of Hippocampal Neurons : Promotion of Cell Survival and Dendritic Outgrowth in Dose- and Developmental Stage-Dependent Manners" Journal of Neuroscience Reserch. (in press).

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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