1.ナメクジウオ筋肉アクチン遺伝子の構造解析:cDNAの塩基配列からプライマーを設計し、日本産ナメクジウオBranchiostoma belcheriとフロリダ産ナメクジウオBranchiostoma floridaeの各々について、PCR法により筋肉アクチン遺伝子のほぼ全長をクローニングし、塩基配列を決定した。B.belcheriについては、筋肉アクチンBbMA1cDNAの翻訳領域と非翻訳領域の各々をプローブに用いてゲノムDNAのサザンブロット解析を行ない、BbMA1によく似た遺伝子がゲノム中に少なくとももう1個存在し、総数10から15程度のアクチン遺伝子がゲノム中に存在することが推測された。 メダカ筋肉アクチン遺伝子の構造解析:メダカ骨格筋アクチンOlMA1cDNAをプローブに用いて、メダカゲノムDNAライブラリーから、OlMA1遺伝子を含むクローンとOlMA1とは異なる筋肉アクチン遺伝子OlMA2を含むクローンを単離した。OlMA1は哺乳類の骨格筋アクチン遺伝子と同様のエキソン-イントロン構造をもつこと、OlMA1の上流には筋肉特異的な転写調節配列として知られているEボックスやCArGボックスが存在することを明らかにした。OlMA2の翻訳領域はOlMA1によく似ており横紋筋型のアクチンをコードしていたが、非翻訳領域の配列は異なっていた。 3.メダカ筋肉アクチン遺伝子の転写調節機構の解析:OlMA1遺伝子の転写開始点の上流約1.5kbから5′UTRを分断する第1イントロンの3′端までを含む約2.3kbのDNA断片をグリーン-フルオレッセンス-プロテイン(GFP)遺伝子に連結した融合遺伝子を作製した。これをメダカ受精卵に顕微注入したところ、胚の骨格筋に特異的にGFPが発現し、このDNA領域が骨格筋特異的な発現に必要十分であることが明らかになった。
|