研究概要 |
プラナリア(Dugesia japonica)の中枢神経系の構造の詳細を明らかにするため神経特異的遺伝子の単離、及び神経標識マーカーとしての妥当性を評価した。 1、POU遺伝子群。昨年度までにプラナリアPOU遺伝子DjPOU1,DjPOU2,DjPOU3の単離に成功した。これらの配列情報をもとにPCR法を駆使し、さらに2つのPOU遺伝子DjPOU4,DjPOU5を単離した.whole mount in situ hybridization法により、DjPOU1とDjPOU3は極めて低いながら脳で発現していることが示唆された。DjPOU3は有性個体の生殖器近傍の神経で発現が見られた。現在それら遺伝子産物に対する抗体を作成中である。 2、神経特異的β-tubulin遺伝子。数多くあるβ-tubulin遺伝子の中から神経特異的発現を示すものを探すため、できる限り多くのβ-tubulin cDNAの3'非翻訳領域をクローニングした。その各々をプローブとしてwhole mount in situ hybridization法により、その中から神経特異的に発現するものを探し出した。その結果、1つの神経特異的β-tubulin遺伝子の同定に成功した。現在、この遺伝子産物に対する特異性の高い抗体を作成中である。 3、神経阻害因子。神経の再生に関わる因子の1つの侯補としてプラナリアBMP(DjBMP)をクローニングした。ハエのDPPとの類似性が認められ、プラナリアの神経索のない背側で発現していることが明らかになった。
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