1)Lbeホモローグ遺伝子Lbx1の遺伝子ターゲッティングマウスの作出 Lbx1タンパク質コード領域をネオマイシン耐性遺伝子に置換したノックアウトベクターを作製し、相同組み換えを利用して胚性幹細胞に導入した。PCR法およびサザンハイブリダイゼーション法で解析した結果、約400クローン中4クローンにおいてLbx1遣伝子の相同組み換えを確認できた。今後さらに、相同組み換えの確認を確実なものにしたうえで、この胚性幹細胞を組み込んだキメラマウスを作製しホモ変異マウスを作出する予定である。 2)筋節に異所的にLbx1を発現するトランスジェニックマウスの作出とその組織学的解析 Myogeninプロモーターの下流にLbx1遺伝子を結合したトランスジェニックベクターを、あらかじめLacZ遺伝子を導入してある胚性幹細胞(以下LacZ胚性幹細胞)のゲノムに組み込んだ。このLacZ胚性幹細胞と正常胞胚とでキメラマウスを作出した。キメラマウス10日胚で導入遺伝子の発現を観察したところ、筋節においてLbx1遺伝子の異所的な発現が確認された。異所的な発現が生じた筋節からは移動性の細胞が出現している様子は観察されなかった。生まれてきたキメラマウスを生後約6週齢および12週齢で、後肢骨格筋の組織学的な解析を行ったところ、3例中1例において、筋組織の異常が観察され、筋繊維の直径が正常なものに較べ大きくなっていることが判明した。
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