研究概要 |
1. 全胚培養法を利用した抗L1抗体による阻害実験 胎生10日のマウス胎仔の脳室内に抗L1抗体を注入した後、回転培養を行った。2日間培養した後、4%パラフォノレムアルデヒドにて固定、10μm厚の凍結切片を作製し、ドーパミン(DA)ニューロンの分布をマーカーであるtyrosine hydroxylase(TH)に対するウサギポリクローナル抗体で検討した。抗L1抗体を注入した場合もDAニューロンの分布に変化は認められなかったことにより、L1はDAニューロンの移動に必須でないと考えられた。 2.6B4 proteoglycan(6B4PG)欠損マウス、L1欠損マウスを用いた中悩ドーパミン(DA)ニューロンの解析 6B4PG欠損マウスおよびL1欠損マウスの組織絹切片(胎生16日-生後1日)を作製し、抗TH抗体で染色を行った。しかしながら、いずれのノックアウトマウスにおいてもTH免疫陽性のDAニューロンの分布に差異は認められなかった。 以上の結果から、DAニューロンの移動に関し、6B4PG,L1はそれぞれ必須でないことが示された。しかしながら、6B4PGノックアウトマウスを解析した結果、6B4PGが高い発現を示す間脳あるいは大脳辺縁系において、カルシウム結合蛋白質calbindinに免疫陽性をニューロンの突起の発達が悪いことが明らかとなった。従って、6B4PGはニューロンの分化、成熟に重要な関与をしている可能性が示された。今後、6B4PGノックアウトマウスにおけるニューロンの分化の異常について、更に解析を行う予定である。また、DAニューロンの細胞移動については、6B4PG、L1ダブルノックアウトマウスを作製し検討を続ける予定である。
|