ドレブリンは成体哺乳類において神経細胞のスパインに特異的に発現しており細胞骨格に結合している。また、ドレブリンは試験管内でアクトミオシン活性を阻害する性質を持っている。これらのことから、ドレブリンはスパイン中のアクトミオシン系を制御することによって、スパインの形態制御に関わっていると考えている。 ドレブリンを蛍光標識するためにGFPのcDNAをドレブリンのいろいろなcDNA断片とつなぎ、CHO細胞に導入した。アクチン結合能を持つドレブリンフラグメントがついていると、GFPの蛍光はアクチン繊維に沿って観察され、さらにあるものではアクチン繊維の変形、細胞の形態自体に変形が見られた。アクチンへの結合は中央部の28残基だけでも弱く見られ、ここらへんを中心とした領域でドレブリンはアクチン繊維とつくことがわかった。アクチン繊維や細胞形態の変形に必要なドメインを同定することはできなかった。 次にGFP-ドレブリンを神経細胞に発現させて、過剰なドレブリンによる影響を調べた。ラット20日齢胎児の大脳皮質の分散培養を3週間飼うと、培養3週間目には神経細胞はシナプスを形成しスパインを発達させる。GFPのみをトランスフェクトした神経細胞では、細胞体、樹状突起がよく光ったが、GFP-ドレブリンを発現させたものではスパインが強く光った。つまり、GFPとつなげて発現させたドレブリンも内因性のドレブリンと同様にスパインに局在することがわかった。このとき、スパインの長さが細胞による違いを超えて、有意に長くなっていた。このことはドレブリンがスパインの形態を制御する蛋白であるという我々の仮説を支持する。
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