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1998 年度 実績報告書

扁桃体と視床下部による海馬LTPの制御

研究課題

研究課題/領域番号 09780718
研究機関東京大学

研究代表者

阿部 和穂  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (60202660)

キーワード長期増強(LTP) / 海馬 / 扁桃体 / 記憶 / 情動
研究概要

海馬は記憶形成に重要な脳部位である。この海馬の神経系においては、記憶の分子メカニズムと考えられる長期増強(LTP)現象が認められる。一方、扁桃体は情動を司る脳部位である。私は過去の研究において、扁桃体を破壊すると海馬のLTPが減弱することを発見した。これは扁桃体が海馬LTPを制御していることを示す初めての知見であり、情動によって記憶が左右されるメカニズムを研究するよいモデルになると思われた。さらに昨年度の研究において、扁桃体内側核(MeA)に高頻度の電気刺激を与えると、海馬歯状回における誘発電位の長期的増大が生じることを発見した。本年度はこのMeA刺激によって生じるLTP様の現象についてさらに解析を進めた。ラットにNMDA受容体拮抗薬CPPを腹腔内投与した場合、MeAに高頻度刺激を与えても歯状回の誘発電位は増強されず、むしろ長期抑圧が観察された。また皮質下神経核から海馬への求心線維の通路である脳弓海馬采を破壊した場合、MeA高頻度刺激により歯状回の誘発電位は一過性に増大したがLTPは形成されなかった。これらの結果から、(1) MeA刺激によるLTPの誘導にはNMDA受容体の活性化が必須である、(2) MeA刺激によるLTPの形成に皮質下求心線維が部分的に関与する、(3)MeA刺激は歯状回の誘発電位に対して増強と抑圧の二重の影響を及ぼすことが明らかとなった。MeAは特に性行動に関わることが知られているので、この現象は性行動に関する情動と記憶の関連を研究するよいモデルになると期待された。なお当初計画のうち、視床下部と海馬LTPの関係についての実験は視床下部神経核破壊の条件設定に手間取り期間内に完了できなかったので、現在も継続中である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Kazuho Abe,Kengo Noguchi,Hiroshi Saito: "Medial amygdala-induced spike potentiation in the rat dentate gyrus is dependent on N-methyl-p-aspartate receptors and subcortical afferents." Neuroscience Letters. 246・2. 85-88 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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