1.今年度行った実験と結果は、以下の通りである。 カリウム(K^+)チャネル(Kv3.1)のアミノ(N)末端、カルボキシ(C)末端、および第1膜貫通領域と第2膜貫通領域を連結する細胞外ループの3か所のアミノ酸配列にもとずいて合成ペプチドを作製した。 2.合成ペプチドをカブトガニヘモシアニン(KLH)と結合させた後、1つのペプチドにつき2羽のウサギを免疫した。 3.ウサギから採血し、血清を硫安沈澱にて粗精製した。抗原特異性を高めるべく、最終的に合成ペプチドを結合させたアフィニティーカラムを通した。 4.Kv3.1チャネル遺伝子を人工的に導入した線維芽細胞株を、上記3で得た抗体を用いて蛍光染色した。Kv3.1チャネル発現細胞は、他の類似するK^+チャネル遺伝子を導入した線維芽細胞と遺伝子導入をしていない線維芽細胞に比して、有為に高い染色性を示した。 5.次に、成熟ラット小脳を酵素抗体法にて染色した。分子層全体と顆粒細胞に中等度から強度の染色を、プルキンエ細胞に中等度の染色を認めた。この結果は、これまでにin situハイブリダイゼーション法で得られている結果と合致した。 今回作製した抗体を用いて、次年度は以下のことを行う。 1.ウエスタンブロット法、免疫沈降法にて抗体の特異性を確認する。 上記2で共沈する蛋白の多い細胞からtwo-hybridシステムのcDNAライブラリー作製し、スクリーニングを行う。 3.神経系培養細胞株、初代培養小脳細胞の蛋白を^<35>Sで代謝標識し、Kv3.1と共に免疫沈降する蛋白の有無を調べる。
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