グルココルチコイドにより誘発されるラット海馬神経細胞死に対するBDNFの保護効果

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09780727
• 研究機関: 岐阜薬科大学
• 研究代表者: 新田 淳美 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (20275093)
• キーワード: 脳由来神経栄養因子(BDNF) / ニューロトロフィン / グルココルチコイド / 免疫化学染色 / ウエスタンブロンティング / ラット

研究概要

1、コルチコステロン投与ラットにおける脳神経細胞の機能障害の検討
7週齢のWistar系雄性ラットにナタネ油に溶解したコルチコステロン40mg/5ml/kgを投与した。10日間の連続投与後、灌流固定を行い、パラホルムアルデヒトで固定後、クリオスタットで組織切片を作成した。その切片を、二ッスル染色を行い、神経細胞数や細胞の形状の変化について検討したところ、著しい変化は光学顕微鏡レベルでは観察されなかった。
2、コルチコステロン投与ラットにおける脳内二ュ-ロトロフィンの変化
上記切片について、ニューロトロフィン(NGF,BDNF,NT-3,NT-4/5)について免疫化学染色を行い、脳各部位および細胞内での蛋白レベルでの発現量および局在化の変化について検討したところBDNFの神経細胞内での局在が変化した。コントロールの動物の脳では細胞核にBDNFの免疫染色性が観察されたが、コルチコステロンを投与されたラットでは観察されなくなった。
3、コルチコステロン投与ラットにおける脳神経細胞核のニューロトロフィンの変化
上記のことを、さらに明確にするために、脳細胞組織から核を抽出してWestern Blottingを行なった。検出の為の抗体には、免疫化学染色で用いた特異的なペプチド抗体を使用した。その結果、細胞核から抽質したサンプルでは免疫交叉性が減少していたのに対して細胞全体から抽質したタンパクをサンプルとした場合には変化はなかった。
4、培養ラット脳神経細胞に対するコルチコステロンの影響
胎生18日のラットから取り出した海馬神経細胞にコルチコステロンを投与したところ、神経細胞死が誘導された。しかし、用量依存性はなかった。

研究成果

• [文献書誌] Atumi Nitta: "Oral administration of propentofylline,a stimalatoi of nerie grcath factor(NGF)synthesis,recoveres cholinergic neuronal dysfuntion induced byth,infusion ofanti-NGF antibody into the rat septum" Behavioural Brain Research. 83. 201-204 (1997)
• [文献書誌] Akio Itoh: "Effects of metvifonate on impairment of learning and dysfunction of cholinergic neuronal system in hasal forebrain-lesioned rats" Behavioural Brain Research. 83. 165-167 (1997)
• [文献書誌] Kiyofumi Yamada: "Orallyactive NGF synthesis stimulators:potential the iapentic agents in Alzneimer is disease" Behavioural Brain Research. 83. 117-122 (1997)
• [文献書誌] Atsumi Nitta: "Continuous infusim ofβ-cmyloid protein into the rat cerebral ventricle induces learnig impairment and neuml and morphological degeneration" Japan Journal Pharmacology. 73. 51-59 (1997)
• [文献書誌] Akio Itoh: "Effects of metrifonate on memory impairment and chslineigic dystunction in rats" European Journal of Pharmacology. 322. 11-19 (1997)
• [文献書誌] Atsumi Nitta: "Administration of corticosterone alters intracelinlar localization of brain-derived neurotropnic faten-like immuroieactivity in the ratbrain" Neuroscience Letters. 226. 115-118 (1997)
• [文献書誌] 新田 淳美: "神経再生" 救急医学. 21. 1669-1673 (1997)
• [文献書誌] Atumi Nitta: "Neuroprotective Signal Transduction" Mark P,Mattson, 345 (1998)