開口放出関連蛋白質HPC-l/syntaxin lAは、加工放出が起きる領域以外にも広く存在することからその活性を制御する分子機構を明らかにすることを目的として本研究を遂行した。 HPC-l/syntaxin lAの活性は、corecomplexと呼ばれるSNARE複合体の形成能をの指標として調べた。生体内と組み替えタンパク質を用いた場合とで複合体形成能に差が見られるか検討したところ、組み替えタンパク質ではほとんどすべてが複合体を形成しうるのに対し、脳の膜画分では約1割しかその形成はみとめらなかった。タンパク質の化学修飾の影響を考えるためにリン酸化による変化を検討したがいずれも顕著な差は認められなかった。そこで変異タンパク質を作製しその共存下での複合体形成能を調べたところ、HPC-l/syntaxin lAのN末端領域を共存させると有意にその形成能は増加した。この結果は、N末端領域に複合体形成を阻害する結合するタンパク質が存在しることを示唆している。この領域に結合するタンパク質としてはMunc13、Munc18が知られている。現在、新規のN末端領域に結合するタンパク質を見い出すことを目的として検討している。また、HPC-l/syntaxin lAの存在領域の違いについて検討するため、形質膜、シナプス小胞膜を分画し、各々を用いて複合体形成能を調べた。その結果、シナフス小胞膜ではやや複合体形成しにくくなっている傾向が見られた。さらに、各々を用いた架橋実験の結果から、両者の間に、部違いが観察され結合タンパク質の違いがあることが推測された。この結果タンパク質についても現在解析を行っている。
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