OCAMの構造解析 ウサギOCAMの断片的なアミノ酸配列を基にして、cDNAクローニングを行い、ウサギOCAMの部分構造およびマウスOCAMの全一次構造を決定した。さらにマウスOCAMについては、そのゲノムDNAをクローニングした。OCAMは免疫グロブリンスーパーファミリーに属する新規細胞接着分子であることが明らかとなった。 OCAMの発現解析 OCAM mRNAおよび蛋白質の発現を、それぞれin situ hybridization法、免疫組織化学法により詳細に解析した。主嗅覚系においてOCAMは、匂い分子受容体の発現分布によって規定される4つのゾーンのうち、外腹側部の3つのゾーンの臭細胞で産生され、その蛋白質は軸索および神経終末の表面膜に局在することがわかった。また副嗅覚系においてもOCAMは、フェロモン受容体によって規定される2つのゾーンのうち、表層ゾーンの感覚細胞にのみ発現することが明らかとなった。これらの知見からOCAMは主および副嗅覚系において、嗅上皮から嗅球への選択的ゾーン投射(zone-to-zone projection)に機能する分子であると予想された。またOCAM蛋白質は嗅覚系のみならず、他の脳領域においても神経細胞のサブセットに発現することを観察しており(小脳Purkinje細胞ではparasagittalゾーンに対応、脊髄運動ニューロンの一部、海馬CA1-CA3錐体細胞においてはmedialからlateralへgradient etc.)、様々な神経回路における選択的軸索投射でのOCAMの関与が示唆された。 OCAMの機能解析 OCAMが免疫グロブリンスーパーファミリーに属する分子であることから、細胞接着分子としての機能を解析し、OCAMのホモフィリックな細胞接着活性を見い出した。
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