本研究では、dystal myopathy、筋緊張性dystrophy及びカルニチン欠損症型筋萎縮症の疾患モデル動物であるB6CBA/J-cro系統マウスを用いて、これまでの研究によりcroマウスで欠損する蛋白について、アミノ酸配列の解析結果と特異抗体を用いた解析結果からこの蛋白が筋小胞体結合CKM鎖である可能性が強く示唆されているので、この点をさらに追求し、筋疾患発症機序及び、正常筋における筋小胞体結合型CKの生理学的意義について考察するために以下の実験を行ない成果を得た。 材料に本講座で系統維持されているB6CBA/J-cro系統、B6CBA/J-++系統および市販ICR系統マウスを用いた。市販キットのプロトコルを改良してマウス筋、肝組織からtotalRNAを精製した。ヒトでの既報を参考にセンスプライマー及びアンチセンスプライマーと設計し、DDBJのDNAデータベースにて検索、また各種プライマー評価ソフトにより検討した後に決定して発注した。精製したRNAを用いて既報を参考にRT-PCR条件を検討し、PCR産物の直接配列決定を進めた。これらの結果と、生化学的に検討した筋CK活性の変動データ等をもとに、筋小胞体分画におけるCKM欠損に由来するものと考えられる筋CK活性低下と筋収縮時の筋小胞体におけるエネルギー代謝の問題と筋脱力との関連について、および正常筋における筋小胞体結合型CKM鎖の生理学的意義について考察を進めている。
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