1. ヒトSCF遺伝子導入-SCID(hSCF Tg-SCID)マウスのさらなる解析として、Western blotおよびProgenitor assayを実施した。 1) Western blot を行った結果、hSCF Tg-SCIDマウス腎臓および脳で膜結合型hSCFの発現を確認した。本Tg-SCIDマウスは可溶型hSCFの発現を基準に確立したマウスであり、今回の結果から、生体内でのhSCFの存在形態2種類をいずれも発現していることが明らかになった。現在、この解析系を用いて、他の臓器における発現を調べている。 2) Progenitor assayを行った結果、hSCF Tg-SCIDマウスでは肥満細胞の前駆細胞コロニーがコロニーの大きさおよびコロニーの構成細胞数の点でlittermateのC57BL/6J-SCID(B6J-SCID)マウスよりも増加していた。他の造血前駆細胞コロニーにはB6J-SCIDマウスとの相違はなかった。 2. hSCFのin vitro解析用に新たにhSCFトランスフェクタントを作製し、解析した。その結果、培養上清中に0.5-1ng/mlの可溶性hSCFを発現する5lineを得、いずれのlineもフローサイトメトリーの結果、膜結合型hSCFを発現していた。現在、ヒト造血系細胞の支持能を検討している。 3. 3GyのX線前処理後のhSCF Tg-SCIDマウスに対してヒト培養肥満細胞の腹腔内移入実験を試みた。60日間の観察期間終了後、human ALU配列の存在をPCRによって調べたがヒト由来の細胞は検出できなかった。現在、他のヒト造血系細胞の移入を試みている。
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