• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

血管壁面におけるリポ蛋白の局所濃度に及ぼす流れの影響

研究課題

研究課題/領域番号 09780786
研究機関北海道大学

研究代表者

和田 成生  北海道大学, 電子科学研究所, 講師 (70240546)

キーワード血流 / 物資輸送 / 動脈硬化 / 内膜肥厚 / リポ蛋白 / 水透過速度 / 濃縮 / コンピュータ・シミュレーション
研究概要

動脈硬化や内膜肥厚などの肥厚性の血管病を引き起こすコレステロールの担体である血液中の低密度リポ蛋白分子(LDL)の輸送に着目し,流れにともなう輸送現象と管壁のろ過作用による濃縮現象から決定される流体中の巨大分子の濃度場をモデル実験およびコンピュータ・シミュレーションにより調べた.
1.モデル実験では,直径0.5μmのポリスチレン微粒子を懸濁した水溶液を,血管を模擬した直径6mmの真直ぐな透析用チューブ内に一定流量で流し,チューブの軸中心部に垂直に照射したレーザー光の透過光強度を測定して、流体中のポリスチレン微粒子の濃度変化を観測した.その結果,透析膜からの水透過速度を生体血管に近い値(6.2x10^<-6>cm/s)に設定した場合,壁せん断速度が1s^<-1>以下で粒子濃度が急激に上昇した.このことから,壁の水透過速度が極めて小さい場合でも,壁近傍の粒子濃度が流速に依存して変化することがわかった.
2.コンピュータ.シミュレーションでは,壁面でのろ過作用を表わす境界条件下で輸送方程式を数値的に解くことにより,種々の流れ場で形成されるリポ蛋白の濃度分布について調べた.真直ぐな円管の場合,濃度境界層の発達にともない壁面上のLDL濃度が高くなり,同じ長さの血管の場合,流れが遅いほど,また,水透過速度が大きいほど壁面のLDL濃度が高くなることがわかった.また,壁面濃度は分子サイズによって異なる拡散係数の大きさに依存し,LDLの分子サイズ以上で,このような流速に依存した壁面濃度の変化が有意に現れることがわかった.さらに,軸対称の狭窄を有する血管や蛇行した血管に対して解析を行った結果,フローパターンに応じてLDLの壁面濃度が変化し,動脈硬化が起こりやすいとされている低壁せん断応力部でLDLの壁面濃度が局所的に高くなることが示唆された.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 斉藤 香織: "血管内壁近傍における低密度リポ蛋白分子の濃度分布(シミュレーションによる理論的検討とモデル実験による検証)" 日本機械学会講演論文集. No.97-1. 264-265 (1997)

  • [文献書誌] 和田 成生: "軸対称狭窄作製による血管壁の構造変化とフローパターンとの関係(動物実験による観察および流速依存性濃縮現象に基づく理論的検討)" 電子科学研究. 5. 89-91 (1997)

  • [文献書誌] Shigeo Wada: "The effect of flow patterns on the surface concentration of LDL in vessels of various geometry" 3rd World Congress of Biomechanics. (5). in press (1998)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi