研究概要 |
本研究では、ピックアップコイルの直径が5mmで12chの高分解能SQUID磁束計を用いて、ラットの聴覚誘発脳磁図、および視覚誘発脳磁図の計測を行った。ラットの聴覚誘発脳磁図の計測では、刺激後約40msecに約500fTの信号が観測された。電流双極子推定した結果、右耳の外耳道より約3mmのところに推定された。視覚誘発脳磁図では、潜時約8msecピークを観察し、その後、潜時約60msecに網膜電位によるものと思われる活動を記録した。本システムを用いて、ラットの聴性誘発脳磁図、視覚誘発脳磁図ともに測定することができた。これらの脳磁図の、湧き出しと吸い込みのピーク間隔は数mmから十数mmであり、通常のヒト用SQUID磁束計では測定できず、高分解能SQUID磁束計の利点を示すことができた。また、ラットの心磁図を計測し、|rotB|の空間分布より心房および心室の磁場的活動を解析した。その結果,心室由来の磁場解析をする際、|rotB|の空間分布が有効であることが分かった。心臓疾患の診断における心磁図の利用は心電図ほど普及してしないが、期外収縮の発生部位やWPW症候群の副伝導路の位置の推定についての研究、薬物ストレスにおけるT波の変化の研究において心磁図優位の報告がある。本研究では、また、ラットの心疾患モデルを作成し、異常心磁図を測定し異常心磁図からの診断の可能性を示した。 以上の結果より、ラット等の小動物の脳磁図、および心磁図研究において、高分解能SQUID磁束計が有効なツールなることが示唆された。
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