研究課題/領域番号 |
09831003
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
藤原 賢三 九州工業大学, 工学部, 教授 (90243980)
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研究分担者 |
武内 道一 九州工業大学, 工学部, 助手 (60284585)
川島 健児 九州工業大学, 工学部, 助教授 (50284584)
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キーワード | 半導体超格子 / 量子構造 / 光電流スペクトル / 光学遷移 / シュタルク効果 / 励起子効果 / 光電気効果 / 共鳴トンネル効果 |
研究概要 |
GaAs/AlAsヘテロ系の、3種類の異なるタイプの超格子空間について、その光学遷移過程の電界制御性を研究し、以下の結果が得られた。その結果の一部は論文として公表した。また、国内で開催された国際会議に投稿し、講演発表を行った。 1. GaAa/AlAs非対称二重周期超格子の光学遷移過程 非対称な量子井戸層ペアからなる、新しいタイプの非対称二重周期超格子及び障壁層にも二重周期性を付与した完全非対称二重周期超格子を真性層として含むp-i-nダイオード試料について、光電流スペクトル測定を実施した。観測された光学遷移は、井戸層の二重性を反映した収束点が異なる(staggered)シュタルク階段遷移エネルギー層状図および障壁層を介した増強されたトンネル結合効果(反交差現象)を明瞭に示していることが、転送行列法を用いた量子準位エネルギーと遷移振動子強度の理論計算との比較から明らかになった。その結果、越格子量子状態の電界制御による、光スイッチ素子に有用な光電流強度の負性微分抵抗領域が得られることが明らかになった。また、これらの超格子ダイオードについての発光特性を測定し、その特異な電界に依存した発光強度分布変化について検討したが、光生成キャリアーの蓄積効果が共存しているために、励起光強度依存性を含めたより詳細な解析が必要であることが明らかになった。 2. 超格子と量子井戸間の相互作用による光学遷移の電界制御 単一周期超格子中に単一量子井戸構造を挿入した領域を真性層に含むダイオードについて、極低温光電流スペクトルを電界強度の関数として詳細に測定し、単一量子井戸に関与する光学遷移の電界制御性を測定した。その結果、階段準位と単一量子井戸固有状態間のトンネル結合による明瞭な共鳴効果を観測した。転送行列法を用いた量子準位エネルギーと遷移振動子強度の理論計算との比較から、電子準位の共鳴以外にも正孔準位間の共鳴結合性により光学遷移の電界制御が起こりうることを光吸収スペクトル構造について初めて明らかにした。
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