研究課題/領域番号 |
09832008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 富雄 大阪大学, 歯学部, 講師 (70184760)
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研究分担者 |
脇坂 聡 大阪大学, 歯学部, 助教授 (40158598)
松尾 龍二 大阪大学, 歯学部, 助教授 (30157268)
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キーワード | 三叉神経 / 運動ニューロン / in vitro / カルシウム / セロトニン |
研究概要 |
【研究目的・方法】 本研究は咀嚼を司る中枢神経機構からの運動出力の最終段である三叉神経運動ニューロンにパッチクランプ法と細胞内カルシウムイオン濃度の光学的測定法を同時に適用することで、カルシウムチャネルのタイプ別の性質および細胞内での分布、さらにカルシウムイオンの細胞内流入の動態と細胞膜に発生する電気現象との関連の解析を目的としている。そこで平成9年度は、三叉神経運動ニューロンを含むスライス標本からパッチクランプ法により安定した膜電位および膜電流の記録を試み、細胞内カルシウムイオン濃度測定の準備を行った。さらにガラス管微少電極法による膜電位記録を行い、細胞内カルシウム濃度を変化させた時の、セロトニン投与によるスパイク後過分極電位の減少効果に対する影響を調べ、以下のことが明らかとなった。 【研究成果】 1.カルシウム濃度が2mMの通常の灌流液中に50μMのセロトニンを投与したところ、スパイク後過分極電位の振幅には変化が認められなかったが、200μMのセロトニンでは約30%の減少が認められた。 2.カルシウム濃度を6mMに増加させた灌流液中に50μMのセロトニンを投与すると、スパイク後過分極電位が約20%減少した。さらにセロトニンの濃度を200μMに増大させると、約40%の減少が認められた。 以上の結果から細胞内カルシウム濃度が上昇すると、セロトニンのスパイク後過分極電位の振幅の減少効果が増強されることか明らかとなった。平成10年度は細胞内カルシウム濃度を同時測定する事でより詳細な分析を行うと同時に、細胞内カルシウム濃度を変化させてセロトニンの効果を修飾する伝達物質などを解析していく予定である。
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