研究課題/領域番号 |
09832012
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
咀嚼
|
研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
西山 勝弘 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (20084783)
|
研究分担者 |
渡邊 和子 岐阜大学, 医学部, 講師 (40158621)
斎藤 滋 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (80084713)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
キーワード | 咀嚼 / 機能MRI / 遺伝子 / 脳 / mastication / MRI / oncogene / brain derived factor |
研究概要 |
近年、咀嚼運動による末梢からの感覚入力が脳の神経活動を活性化することが指摘されているが、これを裏付ける神経科学的なevidenceは殆どないのが現状である。そこで今回我々は、非侵襲的に刺激や行動に対応した脳活動の変化を検討できる機能MRIを用い、咀嚼運動による脳の活性化をリアルタイムで解析したので報告する。 機能MRIが脳の活動状態をどの程度正確に捉えることが出来るのかを検定するために、大脳皮質運動野の局在がはっきりしているfinger tappingによる脳活動の変化を調べた。咀嚼運動を約1秒に1回、30秒間を行い、これをone unitとし、3unitsの総和を取って、脳の活性化の状態を測定・解析した。日常良く噛んで食べない被検者と非常に良く噛んで食事する被験者のそれぞれの咀嚼運動中の脳活動について比較検討した。 Finger tappingにより顕著に上昇した部位は、左右の運動野のfinger areaで、指の運動を支配している領域と考えられた。左側の中心溝の後方の体性感覚野にも神経活動の上昇が観察された。咀嚼運動を行った際には、皮質運動野に弱い活性が認められた。非常に良く噛んで食事をする被検者で調べてみると、咀嚼運動野にはるかに著しい神経活動の上昇が認められた。別の切断面からは補足運動野の神経活動の上昇が観察された。咀嚼状況の悪いボランティアBに対し咀嚼訓練を行い、脳の活性化がどのように変化するかを調べた。訓練前では咀嚼運動野が殆ど認められなかったが、訓練後ではこの咀嚼運動野が見られるようになり、活性化の増強が認められた。また、訓練後では、咀嚼筋群の活性が訓練前より小さいことが分かった。 今回の機能MRI解析から、咀嚼による感覚入力は脳の神経活動の維持とシグナル伝達の可塑的変化に対し重要な役割を演じていることが示唆した。
|