研究概要 |
窪薗晴夫により提出された‘metrical boost',影山太郎による「S構造複合語」という、ともに統辞論・形態論・音韻論の基本的思想にかかわる難題を可能な限り簡潔な形で解決するモデルを提案し、さまざまな事例についてその有効性を検証した。コンピュータによる言語処理を目的として開発されたタイプ付きユニフィケーション文法、特にその応用であるHead-Driven Phrase Structure Grammarを用い、PierrehumbertやBeckmanによる日本語音調研究の枠に沿って、辞書や統辞論レベルの異なる層に規定された情報が統合されて適切な音調情報を生成する方式を提案した。 ATR自動翻訳電話研究所やドイツ政府プロジェクトVERBMOBILにおいて収集された日本語会話データを解析し、また独自の会話データの収集も進めた。1997年7月のパリでの国際言語学者会議コンピュータ言語学部会での発表内容を同会議のプロシーデイングスの中で出版した。1998年8月のドイツ、ザールラント大学で開かれた、形式文法理論についての国際会議FHCG-98で成果を発表し、外国の研究者と情報を交換することが出来た。また、雑誌『日本語学』に論文「計算機言語学におけるプロソディー研究」を掲載した。
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