研究課題/領域番号 |
09834007
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
西阪 仰 明治学院大学, 社会学部, 助教授 (80208173)
|
研究分担者 |
茂呂 雄二 筑波大学, 心理学系, 助教授 (50157939)
上野 直樹 国立教育研究所, 教育指導研究部, 室長 (40124177)
|
キーワード | 相互行為(Interaction) / 参与(Participation) / 記憶(Memory) / コンピュータ / 道具(Tools) / 視覚(Vision) |
研究概要 |
本年度は、おもにデータの収集をおこなうとともに、(多数のワークショップのなかで国内外からの専門家の助言を受けながら)収集したデータの予備的な分析をおこなった。研究代表者である西阪仰は、知覚心理学における「再認」の実験のいくつかのセッションをビデオに収めた。またADDと診断された児童の心理療法を一年間にわたってビデオに収録した。これらのデータの本格的分析は次年度におこなわれる予定であるが、それでも、すでにいくつかの予備的な知見が得られている。一つは、「再認」をふくむ「記憶」/「想起」という現象は相互行為参与者の、その参与のあり方をとおして達成され、かつその参与のあり方を達成していくものであること。今一つは、もちいて、相互行為参与者たちが自分たちの活動(実験であれ療法であれその他のものであれ)を組織していくにあたり、微細な身体の動きやとくに「あ」「あの-」「それで」といった微細な発声が、決定的に重要であること。以上である。研究分担者の上野直樹は、冷凍食品の流通管理会社および旋盤工場で定期的なフィールドワークをおこない、多数のビデオデータを収集した。やはりいくつかの予備的な知見が得られている。一つは、コンピュータのような道具が道具として機能するのは、その機械自体の機構によるよりも、むしろそれをもちいる人間たちの微細なやりとりに依存するものであること。今一つは、コンピュータに制御された新しい機械の「新しさ」は、それが「旧い」機械と並列的に使用されることにより可視化されること。以上である。研究分担者の茂呂雄二は、従来どおり東北地方の小学校でフィールドワークをおこない、教室についてのビデオデータの収集と分析をおこなった。教室の言語使用が相互行為の偶然的展開に依存する様子を追いかけることにより、バフチンの「ヴォイス論」を相互行為分析に接合する見通しを得ている。
|