研究課題/領域番号 |
09834007
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
西阪 仰 明治学院大学, 社会学部, 教授 (80208173)
|
研究分担者 |
茂呂 雄二 筑波大学, 心理学系, 助教授 (50157939)
上野 直樹 国立教育研究所, 教育指導研究部, 室長 (40124177)
|
キーワード | 視覚 / 談話 / 活動 / 相互行為 / ワークプレース / 知覚心理学 |
研究概要 |
本年度は、昨年度収集したデータの分析を、引き続き試みるとともに、そこから具体的な知見をえる作業をおこなった。その過程のなかで、1998年8月には、UKのBrunel大学教授のMichaelLynch氏を招聘し、分析・理論化の作業に関するレビューを受けた。研究代表者の西阪仰は、昨年度収集したデータのうち、とくに知覚心理学実験の録音録画について集中的な分析をおこなった。知覚心理学という活動における談話および身振りの相互行為分析により、次の二点が明らかになった。一つは、視覚に関する心理学の想定は、端的に誤っているということ。もう一つは、にもかかわらず、その誤った想定にもとづきながら、心理学(実験)という活動が一つの独自な活動として参与者たちにより協同で成し遂げられていること。研究分担者の上野直樹は、昨年度に引き続き、作業現場(ワークプレース)におけるフィールドワークからえたデータの分析をおこない、その作業現場にふさわしい仕方での視覚の組織がいかになされているか、を解明した。とくに、その知見をさらに理論化し、様々なレベルにおける社会秩序の可視化が、個々の状況における(その状況にふさわしい仕方での)いろいろな道具の協同的な使用により組織されることを、明らかにした。研究分担者の茂呂雄二は、歴史的建造物の復元作業の分析を通し、過去の事物の可視化がその復元作業という相互行為実践のなかに埋め込まれていることを明らかにした。また、ヴィゴツキー派の議論、バフチンのヴォイス論にもとづく理論研究を通し、「相互行為における談話」という視点が、従来の経験主義的な(一般化と抽象化による)閉塞した言語観を克服しうるものであることを、明らかにした。
|