研究課題/領域番号 |
09835001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
村野 俊一 千葉大学, 医学部, 助手 (50231634)
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研究分担者 |
森崎 信尋 千葉大学, 医学部, 講師 (40174411)
武城 英明 千葉大学, 医学部, 助手 (80291300)
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キーワード | 細胞老化 / Werner症候群 / ミトコンドリア / TIG103細胞 |
研究概要 |
材料と方法:TIG103細胞(正常培養皮膚線維芽細胞)および52歳のWerner症候群男性の皮膚から培養した線維芽細胞。TIG103細胞は38代の継代により分裂を停止したので16代目の細胞を継代早期、35代目の細胞を継代晩期の細胞として実験に用いた。Werner症候群の細胞は18代目で分裂を停止した。細胞はmonolayerとした後に培養液を除いて固定し、透過型電子顕微鏡にて観察した。またTIG103細胞はTeflon-glass homogenizerにて破砕してショ糖密度勾配法にて分画して観察した。 結果:TIG103細胞の継代晩期の細胞には早期の細胞に比べて幅が狭く、内部はCristaeが消失し、無構造様、透過性の低下したmitochondriaをもった細胞が多かった。このmitochondriaの出現率は細胞の継代数が増すごとに増加して継代早期の細胞では23.5%に対して晩期の細胞では87.9%であった。またWerner症候群の15代目の細胞では17%であった。TIG103細胞の継代晩期の細胞からショ糖密度勾配法にてmitochondria画分を分離して電子顕微鏡にて観察したところ、この特徴的な形態をもったmitochondriaはほとんど認められず、それが膨化したと考えられる構造物が認められた。 考察:本研究では細胞老化とmitochondriaの形態の変化について検討したが、細胞老化にしたがって異常な形態をもったmitochondriaは増加するものの、分裂停止とのズレからこれが直接細胞の増殖能を抑制しているとは考えられない。分裂寿命に近いWerner症候群の細胞で増加していないことからも、継代数と関係した現象であるものの増殖停止との関連性は低いものと考えられた。またショ糖密度勾配法による観察から細胞内の浸透圧の高いことがこの変化の原因であることが疑われた。
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