研究課題/領域番号 |
09835006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福尾 恵介 大阪大学, 医学部, 講師 (40156758)
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研究分担者 |
森本 茂人 大阪大学, 医学部, 助教授 (20150336)
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キーワード | Nitric Oxide / Apoptosis / Fas / Plaque Rupture / Vascular Smooth Muscle / Oxidant Stress |
研究概要 |
アポトーシスは、生体にとって不要になった細胞、障害された細胞を取り除く生理的に重要な細胞死の機構、であるが、その機構に異常が原因で起こるさまざまな病態や疾患が報告されている。本研究においては、プラークの不安定化と血管壁におけるアポトーシスの関係を明らかにする目的マ、主にin vitroの細胞培養系を用いて検討を行った。この結果、以下の点を明らかにした。まず、エンドセリン-1(ET-1)は血管内皮細胞から産生されるとともに、動脈硬化巣においてはマクロファージや血管平滑筋細胞からも産生される結果その産生が亢進しているが、我々はET-1が大量のNitric Oxide(NO)による細胞死をETB受容体を介して増強することを明らかにした(文献1)。これに対して、血管平滑筋細胞は、vascular endothelial growth factor(VEGF)の産生を介して内皮細胞における大量のNOによるアポトーシスの誘導を抑制することを明らかにした(文献2)。ところで、不安定プラークにおいては、血管平滑筋細胞の数が著明に減少していることが病理組織学的に明らかにされている。この事実と我々の結果とを合わせると、血管平滑筋細胞の数が減少していると内皮細胞がNOなどの内皮障害因子に対して非常にsennsitiveである可能性を示している。すなわち、血管平滑筋細胞の数の減少は、プラークの未安定化の重要な一因であると考えられた。また、我々は内皮細胞において酸化ストレスがFasを発現誘導することによってFasを介したアポトーシスの感受性が亢進することを明らかにした(文献3)。現在、果たしてアポトーシスを抑制することがプラークの不安化を抑制し心血管イベントの発症予防につながるかを主にモデル動物を用いて検討中である。
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