研究課題/領域番号 |
09835007
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
三木 哲郎 愛媛大学, 医学部, 教授 (00174003)
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研究分担者 |
名倉 潤 愛媛大学, 医学部, 助手 (70304607)
小原 克彦 愛媛大学, 医学部, 助教授 (30260384)
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キーワード | ウェルナー症候群 / 老化 / ヘリカーゼ / 変異 / 症例対照研究 / 心筋梗塞 / 転写 / 線維芽細胞 |
研究概要 |
1) 53人のウェルナー症候群患者において合計14種類のウェルナー症候群原因遺伝子(WRN)変異(4種類のナンセンス変異、6種類のフレームシフト変異、3種類のスプライス異常、1種類のゲノム欠失)を同定した。これらの変異WRNによってつくられる蛋白を予想、解析するとすべての変異蛋白でC末端側の核移行シグナルが欠落していることが判明した。したがってから本来核内で機能するべきWRN蛋白(WRN-H)がWRNの変異により核へ移行できなくなりその機能を果たすことができない(機能喪失)ためにウェルナー症候群が発症すると考えられる。 2) WRNの多型の一つ(1367番目のCysとArgの多型)を用いた症例対照研究において、心筋梗塞患者群ではCysのホモ接合体が有意に高くみとめられた。この多型ではアミノ酸の性質が大きく変化するためWRNに機能異常をもたらす可能性がある。したがってこの多型を持つWRN-Hの機能を検討する必要があると考える。 3) 酵母の系でのTATAプロモーターにおけるWRN-Hの転写活性の検出を試みた結果、全長のWRN-Hは転写を約20倍に増強することが明らかになった。さらにWRN-Hの各種断片を用いた同様の実験より、WRN-Hの転写活性は酸性領域を含むアミノ酸配列(315から403の領域)に存在し、さらに酸性領域とヘリカーゼ領域を含むアミノ酸配列(404から1309の領域)は315から403の領域存在下において転写活性増強作用を示すことが判明した。同様の結果が哺乳類細胞でも証明されれば、ウェルナー症候群における各種老化徴候の発現機構解明の糸口となると考えられる。
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