研究概要 |
骨租鬆症の成因を明らかにするために,神経系と退行性骨代謝変化との関連を検討した.代表的な中枢神経・末梢神経系の疾患である悩血管障害、パーキンソン病、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症の患者において十分なインフォームドコンセントの後に,D-Energy X-ray Absorptiometry(DEX-A)法、CXD法を用いて身体各部位の骨密度測定を行い,骨粗鬆症を的確に評価した上で,骨密度と中枢、末梢の運動神経障害、発汗、皮膚温などの自律神経機能検査、臨床神経学的検査との関連性を検討した.また、各症例については疾患の経過との関連についても比較検討した.今回、科学研究費により局所発汗量が連続的に記録可能となり局所の自律神経機能をより正確に把握することが可能となった.また,血液や尿において骨代謝マーカーである骨形成マーカーや骨吸収マーカーを測定し,臨床像、骨密度や自律神経機能との関連性を比較検討することかできた.今年度は骨検診に参加した地域住民の協力を得られたため健常成人における骨吸収マーカーの加齢変化との比較検討が可能となった.その結果の一部は第95回日本内科学会総会(4月:福岡),第39回日本神経学会総会(5月:京都),第51回日本自律神経学会(11月:東京)において発表した.神経疾患の骨減少の成因には運動障害による筋力低下も影響するが,それだけでなく骨の栄養や代謝に関係する自律神経系が関連することか示唆された.また,筋萎縮性側索硬化症においては骨減少が明らかになる以前から骨吸収マーカーの異常を認めたが,これらの成果は本研究を横断的,縦断的に行ったために得ることかできた.また本大学のホロジック社製QDR-4500A型では骨密度のみならず一肢ごとの筋肉量、脂肪量の測定が可能であるために、現在,骨代謝に及ぼすリハビリの長期的効果についても研究も継続しており,今後さらに症例数を増やして研究成果を報告していく予定である.
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