研究概要 |
ddYマウス由来のT細胞クローンを多数作製した。それらのうち12クローンについて発現するサイトカインを同定した。同定したサイトカインの種類はIL-1,IL-2,IL-3,IL-4,IL-5,IL-10,TGFであり、これらをRT-PCRで検出するシステムを樹立した。これらのT細胞クローンはIL-2とIL-4の発現により3つのグループに分類できた。もっとも多かったのはIL-4を分泌するTh2タイプのクローンであった。分泌するサイトカインはクローンごとに大きく異なりT細胞クローンの多様性が示された。我々は多数のクローンを作製し保存しておりこれらを順次解析し多様性と機能の関連を検討する予定である。次に同系のマウスよりリンパ球を得た後に抗Thy-1.2抗体と補体を用いた細胞障害試験によりT細胞を除去しB細胞を分離回収した。このようにして得られたB細胞をマイトマイシンCあるいは放射線により分裂増殖を抑制する処理をした後に各々のT細胞クローンと共に培養した。培養後に培養液中に分泌される免疫グロブリンの定量化を行なった。この際、分泌される免疫グロブリン量はクローン毎に異なりB細胞に対する作用の多様性が示された。現在検索するT細胞のクローン数を増やしT細胞クローンのサイトカイン産生とB細胞への影響を検討している。使用するB細胞の月齢を変えて実験を行なったところ多くのT細胞クローンにおいて加齢に伴い免疫グロブリンの産生が亢進することがわかった。しかし全く変化が無いクローンも存在するところからT細胞側の要因を平成10年度は解析する予定である。
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