年齢の異なる供与者から樹立したヒト骨芽細胞による破骨細胞の活性化が加齢に伴ってどのように変化しているのかを明らかにする目的で、まず骨芽細胞が接触して破骨細胞の活性化を行っているかを骨芽細胞と破骨細胞の混在系を使って、骨塩吸収を指標として調べた。破骨細胞をヒドロキシアパタイトを被覆したosteologic disc上に播種した後、正位および逆位にしてあらかじめ骨芽細胞を播いてあるディッシュ上に置き細胞接触の必要性を検討した。正位では、骨芽細胞による吸収活性の促進はほとんど見られなかったが、逆位では吸収活性は減少したが、明らかに骨吸収活性を促進した。この促進活性は20才の供与者の骨芽細胞が最高値を示し以後加齢での変化は見られなかった。前年度に明らかにした骨芽細胞が産生調節していると思われるサイトカインのうちIL-6について調べた結果、破骨細胞の活性を促進するAGEの添加によって、濃度に依存して産生が明らかに促進された。この結果は骨芽細胞による破骨細胞の吸収活性促進作用はIL-6などのサイトカインによることを示唆している。一方ストローマ細胞などの破骨細胞支持細胞は破骨細胞分化因子(ODF)を細胞膜上に提示して破骨細胞前駆細胞を破骨細胞に分化させることが報告されている。本研究で使用した骨芽細胞においても骨髄のストローマ同様ODFを発現していることがRT-PCR法にて確認された。
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