研究課題/領域番号 |
09835024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
老化(加齢)
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研究機関 | 大阪市立大学 (1998) (財)東京都精神医学総合研究所 (1997) |
研究代表者 |
森 啓 大阪市立大学, 医学部, 教授 (10159189)
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研究分担者 |
佐原 成彦 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40261185)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | アルツハイマー病 / プレセニリン1 / 突然変異 / 老人斑 / アミロイド |
研究概要 |
アルツハイマー病における老人斑は単に特異的神経病変というだけでなく、原因遺伝子の1つであるアミロイド前駆体蛋白(APP)の内部シークエンスであるアミロイド蛋白が構成成分であるということで重要である。さらに、最近他のアルツハイマー病原因遺伝子であるプレセニリン1との関係でも大きな関心を呼んでいる。本研究はこれらの背景のもとでアミロイド蛋白の脳内沈着におよぼす因子のなかでも最重要であると考えられるプレセニリン1の作用について解析をすすめたものであり、ヒト脳組織を中心に検討を加えた点でその特色がある。 老人斑は2つの蛋白成分(Aβ1-42/43とAβ1-40)から構成されているが家族性アルツハイマー病脳では遺伝変異のない孤発性アルツハイマー病に比べてAβ1-42/43成分の高い沈着が定量的な見地から証明された。また、もう1つの成分であるAβ1-40についてもAβ1-42/43ほどではないが、統計的には有意に高い値をしめしたことから、脳内沈着性アミロイド蛋白へのプレセニリン1の突然変異効果は、可溶性アミロイド蛋白とは異なり、2つのアミロイド成分に及ぶことが示唆された。プレセニリン1の(1)ノックアウトマウスが単なるアミロイド蛋白だけでなく、体軸形成における発生異常をしめすこと、また(2)プレセニリン1の細胞質側ループドメインと結合するのが、予想されるAPP蛋白だけでなく、βカテニンやGSK3βがあることは、プレセニリン1が多作用を担なっている高機能蛋白であることを示唆している。これらの根拠からプレセニリン1が疾患脳内では2つのアミロイド成分沈着に影響することは十分考えられる。これらの分子機構については今後の大きな課題であり、トランスジェニックマウスなどによるモデル動物を用いた解析を考えている。
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