研究概要 |
1) ヒトRAGのゲノム構造に関する研究:(1)ヒトRAG-1cDNAの断片を用いてRAG-1遺伝子の第一エクソンと第二エクソンを含むクローンを単離し、RAGl遺伝子のゲノム構造と転写開始点を決定した。(2)RAG2cDNAをプローブにしてRAG2遺伝子の第1エクソンと第2エクソンを含むクローンを単離し、制限酵素地図を作成した。(3)5'RACE法およびRNAプロテクション法を用いてRAG2遺伝子の転写開始点を決定し、RAG2ゲノム遺伝子構造を決定した。 2) ヒトRAGの転写機構に関する研究:(1)RAGl遺伝子の転写開始点5'上流-2.8kbpから第一エクソン内+50bpまでをレポーター遺伝子に連結したベクター、および上流より順次短縮したコンストラクトを作成し、プロモーター活性を測定することで、転写開始点5'上流-110bpから-86bpの領域がRAG-1遺伝子の基本的プロモーター活性に必要であることを明らかにした。(2)これらのDNAをRAG-1型リンパ球系細胞,および非発現型細胞に導入し活性を測定し、RAG-1発現の有無、細胞系の異同に拘わらず全ての細胞株でプロモーター活性が見られることを明らかにした。(3)さらに、転写開始点上流97bpにあるccaat-boxを置換した変異ベクターを作成してNalm6に導入し、RAG1の発現は、ccaat部位のクロマチン構造変化により制御されていると結論した。(4)同様の手法を用いてRAG2のプロモーターを解析し、RAG2プロモーターはRAGlのそれとは全く異なる制御を受けていることを明らかにした。すなわち、-63〜-107の領域が活性中心であること、この領域にはccaat-boxおよび既知の転写因子結合部位は存在しないことが明らかとなった。現在、ゲルシフト法を用いてシスエレメントおよび転写因子の同定を試みている。
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