1 国際金融取引に関する契約書等のドキュメントで、金融機関から提供を受けた実例および公刊されている解説書から収集し、これらをパソコンに入力した。 2 国際金融における証券化の基本的仕組みを、1の資料を用いて国際取引法および国際私法の観点から理論的に分析した。 (1)国際取引法の観点からは、現在の日本の法制度、とりわけ民法典の関連条文は早急に改正するか、現行の特定債権等の事業に係る事業の規制に関する法律の適用範囲を広げる必要があることが明らかとなった。 (2)国際私法の観点からは、現在の日本の国際私法ルールである法令12条については批判が多いが、国際的証券化の観点からは現行規定で対応可能であることがわかった。現行のルールをどう改正するべきかについては、引き続き研究を続けうる予定である。 (3)なお、1の資料および以上の成果の一部は、平成9年度の法学部国際取引法IIの講義資料として暫定的に公表されている。 国内の実務家からの債権譲渡の実際についての聞き取り調査は、証券発行による資金調達および投資の専門家を中心に実施し、1の重要な資料の提供を受けた。その結果、2の私法に関す法制度とともに、裁量行政が証券化ビジネスの大きな阻害要因になっていることがわかった。 以上の成果は、平成10年度の成果の一部とあわせて、来年3月に発行予定のJapanese Annual of International Lawに、英語で公表することが決まっている。
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