日本において国際的な債権の証券化を促進するための基礎理論として、次のような原則を採用すべきことを明らかにした。 I 第一に、現行の国際私法規則である法例一二条はつぎのように改正されるべきである。 1 債権譲渡の第三者に対する効力は、債務者の住所地法による。 2 前項の規定に関わらず、債権譲渡の債務者以外の第三者に対する効力は、債権譲渡を登記すべき場合には、譲渡人の住所地法による。ただし、譲渡人の住所地法によれば債権譲渡を登記することができない場合には、債権譲渡の債務者以外の第三者に対する効力は、日本法による。 以上の結果は後述11研究発表の「国際金融と国際私法」として印刷中で、一部は「国際私法と国際金融」として国際私法学会大会で報告した。 II 第二に、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(SPC法)は画期的な立法であるが、これによって外国における特別目的会社設立の意義は減少しない。なぜなら、SPC法は当局の規制と監督に依拠する部分が多く、コスト高で利用しにくいからである。特に規制的、強行的なルールの国際的な適用範囲が示されていない点は、法的予測可能性を低める結果となっている。 たとえば、社債管理会社の設置強制は、コストがかかる割にはその有効性が実証されていない。この規定は、日本との密接関連性があり、日本が規定の適用に利益を有する場合、すなわち日本に居住する社債権者を保護すべき場合にのみ、社債の準拠法の如何に関わらず、適用されるべきである。 以上の結果は、11研究発表の"Globalization of Finance : How to Deal with Mandatory Rules"として公表した。
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