本計画の2年度では、自分自身の行動を解析してエピソード検出を行う方法を検討するとともに、エピソード映像の階層化がもたらす記憶想起の向上について実験を行った。 ・ 映像に基づく視覚環境からの行動イベントの検出とエピソードの検索 ユーザの視点映像(頭部装着カメラ)により撮影したものの中から手の挙動に着目し、物体を掴む・放すというペアの動作について、その履歴を記録し、同時に動作の行われた場所を識別することで、物の置き忘れに関する動作履歴の解析を行った。この研究では、画像から色と動きの分布を併用して、物の掴み・放しのタイミングを正確に捉えるとともに、動作と場所の照合を行うことで、物忘れがおきる可能性を事前に知らせることが可能であることを示した。 ・ 2視点映像の階層的記録によるエピソード記録 前年度の実験で、エピソードの構造が複雑になるにつれて、静止映像のもつ想起効果が低下してくることがわかっている。そこで、今年度はイベントを場所の階層性に対応させて階層的に記録することで記憶想起の向上を図った。この実験では、一連の映像を画像の光学的性質の変化に合わせて階層的に分割し、各セグメントに含まれる代表的なエピソード映像を記録するとともに、場所の遷移(移動)の過程を表す数枚の画像サンプルと合わせて階層的に記録することで、想起に必要なイベントの空間的情報を提供することにした。この結果、想起効率の向上が見られた。
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