本計画では、行動と環境を観測することにより、選択的にシーンを記録し、それをユーザが検索しエピソードに関連する映像を呈示することで、記憶の補助を行う手法の研究を進めた。実験システムではCCDカメラによる視点映像から得られた画像系列から印象的なシーンを自動的に記録するシステムの構築を行った。 内容の概要は以下のとおりである。 (a) 頭部装着カメラによって記録した映像による、過去の出来事に対する記憶想起効果の検証を行い、以下のような結論を得た ・ エピソード映像の持つ記憶想起効果の評価。複数の被験者にカメラを装着してもらい記録したエピソード(対話)映像について、記憶再生実験を行い、想起効果があることを示した。 ・ エピソードが複雑で、文脈から外れた突発的イベントは想起されにくいことを示した。 ・ 視点映像を階層的記録エピソード記録にすることで、複雑なエピソードでも想起できる可能性があることを示した。 (b) エピソード映像を自動的に検出する手法の提案を行った。 ・ 人物像に基づく対話シーンの検出手法の提案 ・ ユーザの動きに基づく検出手法の提案 ・ 長時間の映像を階層的に記録するための手法の提案 ・ 行動イベントの自動検出によるエピソード検出の提案。手の挙動に着目し、物体を掴む・ 放すというペアの動作について、その履歴を記録した。
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