研究課題/領域番号 |
09838002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
井野 秀一 北海道大学, 電子科学研究所, 講師 (70250511)
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研究分担者 |
泉 隆 北海道東海大学, 工学部, 助教授 (80193374)
和田 親宗 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (50281837)
伊福部 達 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70002102)
田中 敏明 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教授 (40248670)
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キーワード | 触覚ディスプレイ / 材質感 / テクスチャ / 表面粗さ / 体性感覚情報処理 / 心理物理学 / 人工現実感 / ヒューマンインタフェース |
研究概要 |
近年、人工現実感やテレイグジスタンス技術の発展に伴い、感覚ディスプレイに関する研究開発が盛んに行われている。HMDの開発に代表されるように、特に、視覚系に関する研究が盛んである。一方、手指などの皮膚感覚に情報を呈示する触覚ディスプレイは、インタラクティブなヒューマンインタフェースとしての重要性が視覚ディスプレイと同様に高いのにも関わらず、研究アプローチすら未確立の状況にある。なかでも、さまざまな感覚刺激が融合して惹起される「材質感」に関しては、どのようなメカニズムで知覚されているのか、生理学や心理物理学の分野でもほとんど解明されていない。そこで、本研究課題では、物体把持に際して得られる自然な手ざわりの触感を人工的に生成するヒントを得ることを目的とした「触覚の材質感情報処理メカニズムに関する基礎研究」と、そこで得られた知見に基づく「新しい触感覚情報呈示システムの設計」を目指した生体工学的観点からの触覚研究をおこなった。以下に、本研究内容をまとめる。まず、表面粗さ感を惹起させる触覚ディスプレイの設計指針を得るための基礎実験を行い、どのような刺激条件の時に「ざらざら感」が指先に生じるのかを心理物理的手法で定量的に調べた。その結果、押し付け力30gf以上、移動速度40〜50mm/sで、凹凸面をなぞる場合に、最も「ざらざら感」が生じやすいことがわかった。次に、この知見に基づき、凹凸パターンを自由に表示できる触覚ディスプレイをピエゾ素子を用いて試作した。この触覚ディスプレイはマトリクス状のピン群をスウィープ方式で駆動させる仕組みを備えている。そして、このディスプレイの「ざらざら感」呈示性能を評価・検討するために、サンドペーパとの一対比較実験を行った。その結果#40(540μm)〜#190(83μm)の粒度のサンドペーパで惹起される粗さに相当する「ざらざら感」が、このディスプレイで得られることを確認できた。最後に、触覚の機械受容器の応答特性と表面粗さの知覚メカニズムとの関係について考察した。
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