研究概要 |
今年度行なった研究は以下の通りである。 目的 自動車を運転する運転者の操縦安定感はタイヤの仕様に対応して異なる。一般にスタッドレスタイヤの舗装路での高速走行は車の挙動が不安定に感じ、運転者にストレスがかかると言われている。この現象を運転者の生理反応から評価するためにタイヤ剛性が異なる3種類のタイヤを用い、各タイヤを装着して走行した場合の運転者の生理反応を計測する方法を作成し、操縦安定感を評価する方法の開発を行う。 研究方法 運転者はタイヤメーカでタイヤの操縦安定性を評価している熟練のドライバとした。この運転者に2種類のタイヤでスラロームとダブルレーンチェンジの走行コースを2種類の速度(60km/h,90km/m)それぞれで走行してもらい、走行時の生理反応を測定した。生理反応として5種類(脳波、瞬目回数、心電図、筋電図、心理性発汗)を選び、皿型電極を体に装着して皮膚上の電位変化を測定することによって計測した。5種類の生理反応は精神的な緊張や集中力の高まりに対応した顕著な反応が得られることを基礎実験によって確認した。この基礎実験の結果から実際の測定生理反応として採用した。 研究結果 本年度の研究の結果、以下の知見が得られた。 ・5種類の生理反応及び官能評価から操縦安定感を総合的に評価するためにレーダーチャート方式の表現方法を作成した。本表現方法によってレーダチャートの面積から運転者の操縦負荷が数値的に評価できるようになった。 ・操縦安定性についての官能評価と生理反応との相関性が認められ、生理反応によって客観的に操縦安定性を評価できた。具体的には、操縦安定感の判定が悪い場合にはストレスを示す生理反応が強く、操縦安定感が良い場合にはストレスを示す生理反応が弱かった。 ・個人によって操縦安定感の良いタイヤが異なり、この個人の感覚の違いが生理反応によって明示できる可能性を得た。
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