研究概要 |
芸術(音楽)における感性情報の抽出と技能の実現 前年度に引き続き,インタラクティブアートにおける,技能と精神的な活動の実測と検証という目的に関し,実験環境の制作を中心に研究開発を進めると同時に,実験を行ってきたきた.本年度は,インタラクティブアート作品「竹管の宇宙V」の実際のコンサートにおけるパフォーマーの緊張感の計測を行い,練習時・リハーサル時,本番における精神活動の比較を行った.この結果,練習時・リハーサル・本番の順で,生理指標の変化度合が大きくなることが確認された.また,前年度取得した実験室内での視聴者の生理指標が,パフォーマーのコンサート時の生理指標と類似するという興味深い結果が得られた. 作品を制作する環境(ツール)を一般化し,Cyber尺八を用いた作品を制作するの利用できる標準的なテンプレートを作成した.別の作曲家の作品の制作・上演を実施し,環境の有効性を検討した. 実際のコンサート現場において使用可能な精神的な生体指標の計測センサとして,4チャンネルの携帯型(無線・小型)の皮膚インピーダンス,脈打(心拍)を入力するデバイスの開発を行った.このシステムは,測定対象者にほとんど負荷をかけず,また,動き回ることが可能である.今後,パフォミングアートにおける緊張感の共有の研究の他,パニックの伝播,臨床心理療法のツールとして使用していく予定である.
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