研究概要 |
一昨年度までで,ファジィ系列範ちゅう法に基づく心理的印象の測定システムを整備し た。具体的には,カテゴリー化した7つの印象 FX_i(i=1:非常に静か,i=2 かなり静か:,i=3:やや静か,i=4:どちらでもない,i=5:やや騒々しい,i=6:かなり騒々しい,i=7:非常に騒々しい)を割り当てた押しボタン方式により,呈示音に対する印象を計測するシステムである。 本年度はこのシステムを利用して,従来から知られている呈示音域の変更により現れる文脈効果を定量的に計測する実験を行った。具体的には,1)変動域を変更して呈示する実験と,2)変動域の振幅を変えて呈示する実験である。1)2)の実験から "呈示音は,静かさを基準として軽々しい"の命題の真理値が夫々"0", "0.5", "1"に対応するデシベル値に明確な移動が即ち文脈効果が見られた。このように定量的に文脈効果を把握した研究は従来無く,我々の提案している"ファジィ系列範ちゅう法"の有効性を確認した。更に,この移動に飽和現象も見られ,文脈効果が生起する領域の存在が次第に明らかになった。
|