1. 動画像処理の一種であるオプティカルフローを用いて、人の体動と呼吸数とを非接触的に測定するシステムを開発した。そのシステムは、人をCCDカメラによるビデオテープを通してデータをハードディスクに取り込み、オプティカルフローに基づく処理をパソコンで実行するものである。そのシステムを用いてベッド中の人の体動と呼吸数を長時間にわたり連続的に測定し、人の自律神経活動との関連を調べた。 また、9週間にわたる自転車エルゴメータによる訓練を実施し、心拍数-呼吸数のヒステリシス解析を行い、そのヒステリシスに興味深いパターンがあることを示した。今後、そのヒステリシスパターンの根拠を数理的に解明する予定である。 2. 人の視覚の研究、特に奥行き知覚の研究を行った。人は物をどのように見ているのか、どのように奥行きを認識しているかを、ランダムドットステレオ画像を用いて調べた。ランダムドットステレオ画像からの奥行き知覚が、領域分割の問題となることに着目し、その問題に対するアルゴリズムを提案した。 今後、フッサールによる現象学的方法により、物を見ることはいかなる事であるかとの比較検討をおこなう。 3. オプテティカルフローの数値計算は、現在は変分法をもとにした解析を行っている。研究代表者は、境界要素法による偏微分方程式の数値解析の研究を行っているので、オプティカルフローから直接でてくる偏微分方程式を、境界要素法により研究することが今後の課題である。
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