研究概要 |
本研究では,似顔絵の誇張方法とそこで用いられる様々の情報との関係を明らかにするため,週刊朝日に連載中の「山藤章二の似顔絵塾」を過去5年間にわたって収集し,これを中心に似顔絵にはどのような誇張の仕方があるかの観点から分類した。この結果,似顔絵には21の「誇張の仕方」があり,これを組み合わせることにより成り立っていることがわかった。 さらに,21の「誇張の仕方」を整理統合するため,似顔絵サンプル48点を被験者19名に5段階で評価してもらい因子分析を行った結果,誇張の仕方は,6つの因子からなることがわかった。また,似顔絵サンプルの布置図から,ほぼ中心に誇張の度合の少ないものが布置されていることがわかった。これらから,似顔絵はオリジナルからの逸脱の度合の程度によってもグループ化されていることがわかった。布置図は写実的似顔絵を中心に単純な誇張の似顔絵が周辺に配置され,構成軸を成してその軸線上に各グループが配置されていることがわかった。また,各グループを「写実的なもの」「単純な誇張」「何かに例える」「漠然としたイメージ」「顔の部位の配置変更」「身体的特徴を強化」「特徴部位以外の省略」「幾何的に表現」の8つに分けた。 以上の知見をもとに,既往の変換方法とは異なる誇張方法の案出(誇張アルゴリズム)の案出を行った。ここでは,は乗用車のサイドビューの輪郭線形状をフーリエ変換を用いて周波数スペクトルヘと分解した。それを数学的に操作することにより輪郭線形状の変形を行い、特徴把握との関係を探るものである。 輪郭線形状から特徴を抽出する方法とれらに対応した周波数スペクトルの操作として、以下の3つを用いることにした。(1)ノイズを除去し、大きな特徴を把握する(減法・除法操作による変形)。(2)部分的な強調を行い特徴を強化する(乗法操作による変形)。(3)全体をデフォルメする(平均からの差分を加法操作する変形)。
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