研究概要 |
まず,これまでの理論的研究の成果をプログラム化し,感性データ処理システムを開発し,実際のアンケート調査による顧客参加型のシステムキッチン評価実験データを用いて,開発した数学的手法(感性表現間のファジィな距離の同定法,ソフトなグルーピングと代表的な感性表現の選定法,感性表現とデザイン要素とのソフトな対応モデル構築法,およびデザイン要素推論方式)を実際問題に適用できることを実証した。 また,連想記憶方式のニューラルネットモデルによる,新規のデータや情報に対する学習法を開発した。すなわち,感性表現とデザインとのファジィ対応をニューラルネットに記憶させ,ダイナミックな修正を可能にする方法とソフトウェアを開発した。それを用いて,デザイン要素が一つ変わるだけで評価が大きく変わるような感性評価の非線形性を考慮しつつ,人間の評価パターンをファジィルールとして抽出する手法を開発した。 主観評価の構造は対象によって,また人によっても異なる。したがって,本年度はさらに,主観評価データを分類していくつかのパターンを抽出することにより,印象構造の分析とデザイン支援情報を提供することを試みた。すなわち,データの分類とファジィ積分による総合評価モデルの構築について基礎的な研究を行った。 感性評価の構造を説明することを目標とするとき,ファジィネスの取り入れ方については,統一的手法はなく,分析者の力に頼っている。そこで来年度は,データのあいまい性,状況依存性を統一的に取り扱えるような多変量ファジィデータ解析手法の開発を行う。主題は,評価値における個人差を,モデルのパラメータ空間における個人差として保存する方法の開発である。
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