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1997 年度 実績報告書

棘皮動物ボディプランの起源に関する個体発生学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09839009
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京大学

研究代表者

雨宮 昭南  東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (30011670)

研究分担者 田中 省二  三菱化学生命科学研究所, 生命画像情報研究室, 主任研究員
キーワードウニ / 棘皮動物 / ボディプラン / 個体発生 / 左右非対称性 / 小小割球 / 極細胞 / リチウム
研究概要

32細胞期のウニ胚の植物極端に生じる4個の極細胞(小・小割球)の行動と運命をBrdU抗体染色を用いて追跡した。この細胞は卵割の時期を通じて分裂せず、胞胚期になって1度だけ分裂して8個となり、再び、分裂を停止する。我々の研究室で明らかにされたところでは、原腸胚後期に原腸先端両側に1対の体腔嚢が形成されると、この8個の極細胞はその左右体腔嚢に不等配分される。この時の極細胞の不等配分の様式によって、ウニの種は2つのグループに分けられることがあきらかになった。1つのグループでは、8個全ての極細胞が左側体腔嚢に配分され、もう1つのグループでは、左側に5個、右側に3個の割合で配分される。いずれの場合でも、基本的に左側体腔嚢の方に多くの極細胞が配分されることになる。極細胞が左側体腔嚢に多く配分されることと、左側体腔嚢が成体原基を作ることの因果関係を、小小割球、および、体腔嚢の除去、移植実験によってしらべた。その結果、小小割球の左右体腔嚢への配分が5:3型のウニでは、左右体腔嚢への配分完了後に胚を2等分して作った双生胚のいずれもが、成体原基を作ったが、8:0型のウニでは、左半分のみが作り、右半分は成体原基を作らなかった。8:0型のウニで左体腔嚢を除去し右側に移植すると右側に成体原基が形成された。しかし、左体腔嚢のみを除去しても、左側に成体原基は形成された。また、32細胞期に全ての小小割球を除いた胚も成体原基を作る能力を持っていた。これらの結果から、小小割球の発するシグナルと小小割球が周囲の細胞から受け取るシグナルが、微妙なタイミングで互いに関わりあっていると考えられる。
ウニ胚をLiClを含む海水中で飼育すると、植物極化が起こり、内胚葉領域が増大することが知られていたが、我々は、LiCl処理によって、成体原基が幼生の右側に形成されるようになり、左右極性の逆転の起きることを発見した。左右極性に関してLiCl感受性のある時期は植物極化に関して感受性のある時期よりも遅い時期である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Saito,M., Amemiya,S., et.al.: "Induction of metamorphosis in the sand dollar Peronella japonica by thyroid hormones." Dev.Growth Differ.(in press). (1998)

  • [文献書誌] Yokota,Y. and Amemiya,S.: "A putative vitellogenin in coelomic fluid of echinothurioid sea urchins,Araeosoma owstoni and Asthenosoma ijimai." Comp.Biochem.Physiol.(in press). (1998)

  • [文献書誌] Kitazawa,T. and Amemiya,S.: "Evagination of the amniotic cavity in larvae derived from lithium-treated embryos of the sand dollar,Peronella japonica." J.Exp.Zool.279. 309-312 (1997)

  • [文献書誌] Minokawa,T. and Amemiya,S.: "Skeletogenic potential of induced secondary mesenchyme cells derived from the presumptive ectoderm in echinoid embryos." Dev.Genes Evol.206. 472-476 (1997)

  • [文献書誌] Nomaguchi,T.A., Amemiya,S.et.al.: "Embryonic thermosensitivity of the ascidian,Ciona savignyi." Zool.Sci.14. 511-515 (1997)

  • [文献書誌] 雨宮 昭南: "ウニの変態と幼生の環境適応" 遺伝. 51. 35-40 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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