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1999 年度 実績報告書

金属イオンの利用形態の進化と多様性に関する自然史科学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 09839017
研究機関広島大学

研究代表者

宇山 太郎  広島大学, 理学部, 講師 (60232914)

研究分担者 植木 龍也  広島大学, 理学部, 助手 (10274705)
金森 寛  富山大学, 理学部, 教授 (00019001)
道端 齊  広島大学, 理学部, 教授 (00111740)
キーワードホヤ / 金属濃縮 / バナジウム / 酸化還元 / 金属輸送体 / 金属結合タンパク質
研究概要

ホヤは海水中から遷移金属元素のバナジウムを高濃度かつ高選択的に濃縮している。ホヤの血球に含まれるバナジウムイオンの濃度は海水のバナジウム濃度の1,000万倍(10^7)に相当する350mM濃度に達し、生理的濃縮としては他に例を見ないものであった。ところが、近年になって系統学的には遠く離れた海産の環形動物の多毛環虫綱に属するエラコに、ホヤに匹敵するバナジウムが濃縮されていることが発見され、エラコにホヤのバナドサイトと共通な抗原タンパク質が存在することから、エラコが系統学的な違いを乗り越えて共通の金属濃縮機構をもている可能性が示唆された。そこで本研究では、金属イオンの濃縮機構の生物における普遍性を探るため、金属結合タンパク質とその輸送体に焦点を当てて研究を進めた。
バナジウム結合タンパク質に関しては、ホヤのバナドサイトの細胞質中に存在するバナジウム結合タンパク質(VAP:12.5kDaと15kDa、16kDaの3種類)を同定し、それらの部分アミノ酸配列からcDNAの全長を明らかにした。推定されるアミノ酸配列から、これらのタンパク質は金属イオンと結合しやすいシステインを約16%も含み、[C]-[X(2-4)]というモチーフの繰り返しを持つ新規のタンパク質であることを見出した。
また、バナジウム輸送体に関しては、プロトンと共役して2価金属イオンを輸送するATP非依存的金属輸送体のNramp(natural resistance-associated macrophage protein)ホモローグのcDNAをホヤの血球のcDNAライブラリーからクローニングすることに成功した。ホヤのNrampホモローグ(AsNramp)は、哺乳類の小腸の管腔からの鉄の取り込みやトランスフェリンサイクルにおけるエンドソームからの鉄の取り込みに働くNramp2と70%の相同性を示した。Nrampファミリーの金属輸送体は、バクテリアから高等動・植物に広く存在すること、幅広い基質特異性を示すことから、、この金属輸送体が、ホヤにおいてバナジウムイオンの輸送体として機能する可能性を指摘した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Michibata,H.: "Vanadocytes,cells hold the key to resolveving the highly selective accumulation and reduction of vanadium in ascidians."Microscop.Res.Tech.. in press. (1999)

  • [文献書誌] Kananori,K.: "Direct reduction from vanadium(V) to vanadium(IV) by NADPHin the presence of EDTA,A consideration of the reduction and accumulation of vanadiumin the ascidian blood cells."J.Innorg.Biochem.. 77. 157-161 (1999)

  • [文献書誌] 道端 齊: "海水中の金属イオンを高選択的かつ高濃度に濃縮するホヤの生理機能とその応用の可能性"日本海水学会誌. 53. 248-257 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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