研究概要 |
1蝦夷累層群下部蝦夷層群の放散虫化石層序を,亜階のレベルで国際対比が可能な分解能で設立した.これにより,下部蝦夷層群の安定炭素同位体比の変動,特に正方向のスパイクを国際的な海洋無酸素事変の0AE1aからdの4回に対比できることが従来より一層確かとなった. 2下部蝦夷層群の安定炭素同位体比を分析した層準の岩石試料に対して,元素分析を実施し,海水準変動について岩相解析とは異なるアプローチから同じ結果を得た. 3上記試料に対して,酸化還元指標となる元素分析及び有機地球化学分析を実施し,前年度よりさらに詳細に海洋の酸化還元環境の変遷を解明した. 5韓国慶尚累層群下部について,2回にわたって現地を訪れて層序調査,試料の採集を実施した.次いでそれらの試料の安定炭素同位体比,元素分析,ロックエバル分析,ビトリナイト反射率の測定を行った. 6それにより,慶尚累層群虫の有機炭素が陸源であることを確認すると共に,安定炭素同位体比の経時的変動が前期白亜期の海洋無酸素事変のそれと対比できる可能性を得た. 7それらの分析結果を持って,三度韓国に赴き,韓国慶北大学校の章基弘教授に結果説明を行い,韓国の地史から見てそれらの結果,及びそれに基づく古環境復元が妥当であるか,細部にまで渡って意見を求めた. 8なお上記のほかに,北海道古丹別,天塩川及び幌加内地域に赴き,来年度以降のより適切なシーケンスを予備調査した. 9韓国慶尚累層群についての分析結果については,近々四度慶北大学校を訪れ,その古環境復元が妥当であるか,検討を行う予定である.
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