研究概要 |
4年継続の研究期間の最終年度に当たるので,極力1.これまでの成果の刊行,2.学会発表,3.成果の確認と今後の研究の展開に備えた海外の同時代の層序の見学・予備調査に専念した. 以下に順を追って記す. 1.成果の刊行.裏面記載のように,8編の論文を年度内に印刷した.すなわち,(1)日本の白亜紀のアンモナイト類の種レベル,亜期単位での多様性変動のデータ・ベースを完成させた.(2)前期白亜紀の海洋無酸素事変の発生について,有機化学,同位体科学の観点から,4回の小事変が継起したことをほぼ明らかにした.(3)以上を比較することにより,本邦前期白亜紀のアンモナイト類の種多様性の変動は,主として海洋無酸素事変により支配されていたことを明らかにした. 2.日本地質学会年会において3件(107年年会,於島根大学)の報告,国際学会において3件(第31回万国地質学会,於リオデジャネイロ;IGCP434シンポジウム,於ブラゴベシュチェンスク;IGCP434シンポジウム,於ヤンゴン)の報告をし,討論を経て内容を深めた. 3.ロシア極東のKhundur地方の陸成上部白亜系,Khabarovsk地方の白亜紀付加体及び前弧海盆白亜系,ミャンマー連邦の白亜紀付加体及び前弧海盆白亜系を予備調査・見学した.これらに基づいて,今後の研究の展開として,ロシア極東のアムール川下流域を2002年に本格調査することにした.
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