研究概要 |
本年度は八重山諸島西表島、石垣島において、造礁サンゴに共生するサンゴガニ類の採集調査を行なった。ミドリイシ類は海底より引き上げたサンゴ塊を逆さまにして枝の間からサンゴガニ類を取り出した後、海底に戻した。ハナヤサイサンゴやテーブルサンゴ類は海底に強く固着しているため、干潮時に露出したサンゴ塊の枝の間からピンセットなどを用いてサンゴガニ類を追い出すことにより採集した。効率はよくなかったが、サンゴを壊すことなく採集する方法が他にないための止むを得ない方法である。採集後に写真撮影を行い、生時の色彩を記録した。しかし、ヒメサンゴガニ属の個体は多くが蛍光を発するような独特の色彩で、水中から引き上げたカニではそれらは消滅する傾向があった。 採集されたサンゴガニ類の標本はアカホシサンガガニTrapezia wardi Serene,アミメサンゴガニT.septata Dana,オオアカホシサンゴガニTrapezia rufopunctata(Herbst),カノコサンゴガニT.guttata Rueppell,カバイロサンゴガニT.ferruguinea Latreille,クロサンゴガニT.digitalis Latreille,サンゴガニT.cymodoce(Herbst),サンゴガニ属の1種T.aff.speciosa Dana,ヒメサンゴガニと同属の数種Tetralia glaberrima(Herbst)and spp.である。小笠原諸島に比較的多いアラメサンオガニは見ることができない。ヒメサンゴガニ類は多くの色彩が認められるが、種による違いなのか単なる個体あるいは成長段階における色彩変異なのか、未だ確実な同定ができていない。
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