MEG(Magnetoencephalogram)を用いて誘発脳磁場を測定することにより、健常人の意識状態が外来性の視覚刺激によりどのように変化するかを計測し視覚的注意の作動機構の検証を行うとともに、視覚的注意の生成の脳内メカニズムを探ることを目的としている。脳における超微小磁場が計測可能になったのはここ数年SQUID(Superconduction Quantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)の開発が進展した結果である.液体ヘリウムに浸した超伝導コイルが脳の微小磁場の検出感受性を数フェムトテスラのレベルで可能にしている.注意のMEGによる実験的検証は未だ世界的にもなされていない試みである。21世紀は“脳と心"の時代であると言われるが、この実験は萌芽的研究ではあるがこの大きな問題の解決への第1歩であると考えている.本実験は岡崎の文部省国立共同研究機構生理学研究所に設置されたBti社のMEG装置(37チャンネル)を用いて行う予定であり現在その準備を行っている.現在、視覚刺激をコンピュータ画面に生成し、瞬間提示されたターゲット刺激を検出させることにより視覚的注意を誘発させ、これに対応した脳の活動を測定する.また、注意(視覚的アウエアネス)のレベルが刺激属性の複雑度によってどのように変化するかを視覚野や注意の座とされる頭頂葉からの記録によって比較検討するテスト実験を行っており、これをMEG計測に用いるよていである。
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